新電力(電力小売)は顧客獲得コストや市場価格変動の影響を受けやすい

新電力(電力小売)は、お客さんを集めるお金と、電気の仕入れ値段の変化に弱く、大きくなろうとすると一時的に大きな赤字になりやすい仕事です。
中学生でもわかるように、1次情報源(JEPXの公式価格データ、経済産業省の資料、東京商工リサーチの会社決算まとめ)をもとに、簡単な数式で説明します。

1. 電力小売の基本的なお金の流れ

電力小売会社は、

  • 仕入れ:発電所や取引所(JEPX)から電気を買う
  • 売り:家庭や会社に電気を売る

簡単な式で表すと、利益 = 売ったお金 − 仕入れたお金 − その他の費用

「その他の費用」の中に、お客さんを集めるためのお金(広告やキャンペーン)が大きく入ります。

2. お客さんを集めるコストが高い理由

新しい電力会社(新電力)は、もともとあった大手電力会社からお客さんを奪わなければなりません。
そのため、
  • 安い料金を設定する
  • 広告やキャンペーンにお金をかける

これが「顧客獲得コスト」です。
1人(1軒)のお客さんを獲得するのに、数千円〜数万円かかることもあります。
このコストは、最初にまとめて払うので、売上が増える前に赤字になりやすいです。

3. 市場価格(仕入れ値段)が大きく変わる

電気の仕入れ値段は、取引所(JEPX)で毎日変わります。
公式データ(経済産業省まとめ)によると、年平均の仕入れ値段はこんな感じです(円/kWh):

  • 2019年:約7.9円
  • 2020年:約11.2円
  • 2021年:約13.5円
  • 2022年:約20.4円(大きく上がった年)
  • 2023年:約10.7円

2020年や2022年のように急に高くなると、安い値段で売っている会社は「仕入れたお金 > 売ったお金」になり、逆ざや(赤字)になります。

4. なぜ「規模を追うと大きな赤字」になるのか?

ここで簡単な数式を使います。
1kWhあたりの損失を「損失単価」とします。
例:仕入れ20円、売り15円なら、損失単価 = 20 − 15 = 5円
会社全体の損失は、
全体の赤字 = 損失単価 × 売った電気の量(kWh)
つまり、お客さんが増えて売った電気の量(規模)が10倍になると、赤字もだいたい10倍になります。

実際のデータ(東京商工リサーチの決算まとめ):

  • 2021年、比較できる新電力会社の売上は前の年より約14%増えた(規模が大きくなった)
  • でも利益は、前の年の黒字から数百億円の赤字に変わった
  • 赤字の会社の割合は、約24%から56%に増えた

売上が増えたのに利益が大赤字になったのは、「規模が大きくなった分、損失も大きくなった」からです。

まとめ

  • お客さんを集めるお金(顧客獲得コスト)が最初にかかる
  • 仕入れ値段が大きく上下する(市場価格変動)
  • 大きくなろうとすると「損失単価 × 量」で赤字が何倍にも膨らむ

これが、電力小売が「規模を追うと一時的に大きな赤字になりやすい業種」と言われる理由です。最近は、値段の変動を抑えるための対策(長期契約や先物取引)も増えていますが、基本の仕組みは変わっていません。

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